頚椎症性神経根症はどれくらいで治るのか
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頚椎症性神経根症とは
頚椎症性神経根症(けいついしょうせい しんけいこんしょう)は、首の部分にある頚椎(けいつい)の変性や損傷によって、頚椎から出る神経根が圧迫され、その結果、首や肩、腕に痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れる状態です。
主な原因と症状
主な原因
①椎間板の変性
椎間板は頚椎の間にあるクッションの役割を果たしている軟骨ですが、年齢とともに変性して薄くなり、周囲の神経に圧力をかけることがあります。
②骨棘(こつきょく)
骨が変形し、突起物(骨棘)が形成されることで神経を圧迫することがあります。
③椎間孔の狭窄
頚椎から出る神経が通る椎間孔が狭くなることで、神経根が圧迫されることがあります。
症状
①痛み
首、肩、腕にかけての痛み。特に、片側の腕に強い痛みが現れることが多いです。
②しびれ
肩から腕、手にかけてのしびれや感覚の異常。
③筋力低下
圧迫される神経根により、手や腕の筋力が低下することがあります。
④運動機能の低下
動作がぎこちなくなったり、手先の器用さが失われたりすることがあります。
検査と診断方法
頚椎症性神経根症の診断には、患者の症状や身体診察に加え、いくつかの検査が行われます。以下は、一般的に用いられる検査方法です。
①身体診察
神経学的検査:医師は、患者の感覚、筋力、反射などを調べて、神経の圧迫の有無やその影響を確認します。
・Spurling Test:頚椎を側方に傾けて圧迫を加えることで、症状が再現されるかを確認します。これにより、神経根が圧迫されているかを評価します。
②画像診断
X線(レントゲン):頚椎の骨の構造を確認し、骨棘や椎間板の高さの低下、椎間孔の狭窄などをチェックします。骨そのものの状態はわかりますが、軟部組織や神経の詳細は不明です。
③MRI(磁気共鳴画像):椎間板、神経根、脊髄などの軟部組織を詳細に見ることができます。特に、神経の圧迫や椎間板ヘルニアの有無を評価するために非常に有用です。
④CTスキャン:X線を使った断層撮影で、骨の詳細な画像を提供します。骨の変形や骨棘の評価に適していますが、軟部組織の評価はMRIほど得意ではありません。
⑤CTミエログラフィー:造影剤を脊髄腔に注入してからCTを撮影する方法で、神経根の圧迫や脊髄の形態を詳細に観察することができます。
③神経機能検査
筋電図(EMG):神経と筋肉の機能を調べるための検査です。特定の神経根が損傷しているかどうかを確認するために使用されます。
神経伝導速度検査(NCV):神経の伝導速度を測定し、神経が圧迫されているかどうかを調べます。遅延が見られる場合、神経根の損傷が示唆されます。
⑤血液検査
通常、頚椎症性神経根症の診断には血液検査は含まれませんが、感染症や炎症性疾患の可能性を排除するために行われることがあります。
これらの検査により、頚椎症性神経根症の診断が確定され、最適な治療方法が決定されます。
治療方法と治療期間
頚椎症性神経根症の治療方法と治療期間について解説します。
治療方法
① 保存療法
多くの場合、まず保存療法が試みられます。
・薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬: NSAIDs)、筋弛緩薬、神経痛に対する薬(プレガバリンなど)が処方されることがあります。
・理学療法:物理療法(温熱療法、冷却療法)や、首や肩周りの筋肉を強化するための運動療法が行われます。頚椎の牽引療法も行われることがあります。
・装具療法・頚椎カラー(首のサポート装具)を使用して、首の動きを制限し、症状を緩和させる場合もあります。
・生活指導:患者の日常生活における姿勢や動作を改善するためのアドバイスが行われます。
②注射療法
保存療法で十分な効果が得られない場合、以下のような注射療法が行われることがあります。
・ステロイド注射:痛みを和らげ、炎症を抑えるために、神経根周囲にステロイドを注射することがあります。
② 手術療法
保存療法や注射療法で症状が改善しない場合、手術が検討されることがあります。
・椎間板ヘルニアの除去(椎間板摘出術)
・骨棘の除去
・頚椎の固定手術(頚椎前方固定術、頚椎後方固定術)
手術は、神経根の圧迫を解消し、痛みや神経症状を軽減するために行われます。
治療期間
治療期間は個人差が大きく、症状の重さや治療方法により異なります。
保存療法:通常、数週間から数か月間にわたり行われます。軽症例では数週間で症状が改善することもありますが、症状が慢性的な場合は治療期間が数か月に及ぶことがあります。
注射療法:効果は個人差がありますが、注射後数日から数週間で症状が改善することが期待されます。効果が一時的な場合もあり、複数回の注射が必要になることもあります。
手術療法:手術後の回復には数週間から数か月が必要です。リハビリを行いながら、段階的に日常生活に戻ることが求められます。
症状が改善し始めるまでの期間は患者ごとに異なりますが、早期に治療を開始することで、より早い改善が期待できます。
症状は、適切な治療とリハビリテーションによって改善することが多いですが、治療が遅れると慢性化することがあります。
頚椎症性神経根症(けいついしょうせい しんけいこんしょう)の治療期間は、症状の重さや治療方法によって異なります。
軽症の場合は、数週間から数か月で改善することがありますが、慢性的な症状や重度の神経圧迫がある場合は、数か月以上かかることもあります。
完治には時間がかかることもあり、個人によって回復速度が異なります。特に、日常生活の工夫やリハビリの継続が重要です。
一般的な治療期間の目安
① 保存療法
安静、理学療法、薬物療法(鎮痛薬、消炎薬)、頚椎カラーの装着などを行います。軽度の症状であれば、これらの治療で数週間から数か月で改善することが多いです。
② 注射療法
痛みが強い場合、神経根ブロックなどの注射療法が行われることがあります。これも数週間から数か月で症状が軽減されることがあります。
③ 手術
症状が重い場合や、保存療法で効果が見られない場合は、手術が考慮されます。手術後の回復期間は、個人差がありますが、数か月かかることが一般的です。
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